1結論:就活生がアピールすべきは「自立性」と「協調性」
就活になると、「ガクチカを作らないといけない」「何かすごい実績が必要なのではないか」と考えやすい。
サークルの代表、体育会、長期インターン、海外留学、学生団体、起業など、分かりやすく目立つ経験を持っている人は確かに強く見える。
ただ、企業が本当に見たいのは肩書きそのものではないと思う。
新卒就活でアピールしたいのは、大きく分ければ自立性と協調性だ。
自立性とは、指示を待つだけではなく、自分で考えて仕事を前に進められること。
協調性とは、自分一人で完結するのではなく、周囲と一緒に成果を出せること。
この二つが揃っている人は、会社に入ってからも仕事を任せやすい。
だから学生時代から、自分で考えて、周囲と協力して、実際に何かを動かした経験を作っておきたい。
2新卒採用では「将来仕事ができそうか」を見られている
中途採用なら、これまでどんな会社で働き、何を担当し、どのくらいの成果を出し、どんな専門性を持っているのかを見れば、その人が何をできるかはある程度判断できる。
一方で、新卒には基本的に社会人としての実績がない。
営業をやったこともなければ、大きなプロジェクトを動かした経験もなく、企業側は完成された能力だけで判断することができない。
それでも毎年多くの企業が新卒を採用するのは、現在の完成度ではなく、「この人は入社後に伸びて、将来成果を出せそうか」を見ているからだ。
これが、いわゆるポテンシャル採用だと思う。
ポテンシャルには学歴、地頭、学習能力、コミュニケーション能力など、いろいろな要素がある。
ただ、実際の仕事まで考えると、その中心には自分で考えて動けることと、周囲と一緒に成果を出せることがある。
つまり、自立性と協調性だ。
3自立性の高い人が多いほど組織は速く動ける
会社では、すべての仕事について上司から細かい指示が出るわけではない。
例えば「これを調べておいて」と言われるたびに、
- 何を調べればいいですか
- 誰に聞けばいいですか
- どこまで調べればいいですか
- 次は何をすればいいですか
と確認しなければ動けない人が何人もいたら、上司はそのたびに仕事を分解して指示を出さなければならない。
部下が増えるほど、上司自身がボトルネックになってしまう。
一方で、「今回の目的はこれだと思うので、まずAとBを調べます。結果を見て必要ならCまで確認します」と自分で考えられる人なら、上司は細かい手順まで指定しなくていい。
さらに、「調べた結果A案が良さそうです。理由はこの3点で、このリスクだけ判断をお願いします」まで持ってこられれば、上司は本当に必要な判断だけすればいい。
つまり、自立性の高い人が増えるほど、組織の意思決定を分散できる。
一人ひとりが自分の担当範囲で考えて動き、管理職はすべてを管理するのではなく、重要な判断や調整に集中できる。
自立性は、単に「主体性のある人でかっこいい」という話ではない。
組織全体の処理能力を上げる能力だから、企業にとって価値がある。
4でも自立性だけでは仕事はできない
ただし、自分で考えて動ければ何でもいいわけではない。
会社の仕事は、ほとんど一人では完結しない。
上司、同僚、他部署、顧客、取引先など、立場も利害も違う人と一緒に物事を進める必要がある。
例えば自分ではA案が正しいと思っていても、別部署はB案を望んでいることがある。
そこで「自分が正しいからAで進めます」と押し切れば、組織ではうまくいかない。
相手がなぜB案を求めているのかを聞き、自分たちの事情も説明し、譲れるところと譲れないところを整理しながら、必要なら第三案を考える。
仕事では、正しい答えを考えるだけでは足りない。
周囲と合意を作って、実際に動かすところまでが仕事だ。
このときに必要になるのが協調性だ。
5「自立性×協調性」が一番強い
自立性だけが高い人にも弱点がある。
自分で何でも決めてしまい、人に相談せず、チームの事情も無視してしまえば、「主体性がある人」ではなく「勝手に動く人」になってしまう。
逆に協調性だけが高い人も、必ずしも仕事を任せやすいとは限らない。
人当たりがよく、頼まれたことはきちんとやるけれど、「あなたはどう思う?」と聞かれたときに自分の意見がなく、周囲に合わせること自体が目的になってしまえば、指示待ちになりやすい。
企業が欲しいのは、そのどちらでもない。
自分で考える。でも独断では動かない。
周囲と協力する。でも周囲に流されるだけではない。
この両方ができる人が強い。
だから就活でも、「コミュニケーション能力があります」だけでは少し弱いし、「主体性があります」だけでも十分ではない。
自立性と協調性が同時に伝わる経験を話せる方がいい。
6ガクチカでは「何をしたか」より「どう動いたか」を見せたい
例えば「サークルの新歓を頑張りました」というガクチカがあっても、それだけではその人が仕事をできそうなのかはあまり分からない。
同じ新歓でも、
- 前年より新入生が減っていることに気づいた
- 参加者へのヒアリングや過去の参加率を調べた
- 新入生が参加しにくいイベント構成だと仮説を立てた
- 幹部に企画変更を提案した
- 反対意見があったため、まず一つのイベントだけ試した
- 結果を見て、その後の新歓にも展開した
という話なら、一気に仕事っぽくなる。
ここには、問題を見つけ、情報を集め、自分で考え、判断し、周囲へ提案し、意見を調整して実行する流れがある。
つまり、自立性と協調性の両方が見える。
別にサークルでなくてもいい。
長期インターン、アルバイト、ゼミ、学生団体、個人開発、SNS運営、イベント企画など、活動そのものは何でもいい。
重要なのは活動名ではなく、その中で自分がどこまで考えて、どこまで周囲を動かしたかだと思う。
7失敗した経験もむしろ使える
就活では成功体験ばかり話したくなる。
でも、失敗した経験もかなり重要だと思う。
なぜなら、社会人になれば必ず失敗するからだ。
新卒で入社して最初から何でもできる人はいないし、判断を間違えたり、顧客への説明がうまくいかなかったり、作ったものをやり直したり、予定通りに進まなかったりする。
企業側からすると重要なのは、失敗しない人かどうかではなく、失敗したあとに立て直せる人かどうかでもある。
だから学生時代にも、
- 最初にどう考えたか
- 何をやって失敗したか
- 原因をどう考えたか
- 次に何を変えたか
- その結果どうなったか
まで話せる経験は強い。
失敗を隠す必要はない。
むしろ、失敗を情報として使って次の行動を変えられること自体がポテンシャルになる。
自立性とは、最初から全部正解できることではなく、間違えたあとも自分で考え直して前へ進めることだ。
8大学1年生から「意思決定できる経験」を取りに行きたい
では、大学生活で何をすればいいのか。
必ず学生団体に入る必要もなければ、起業する必要もなく、全国大会で優勝するような経験もいらない。
ただ、一つ意識したいのは、自分で意思決定できる場所へ行くことだ。
言われたことだけを繰り返す経験より、「どうしたらもっと良くなるだろう」と自分で考えられる場所の方がいい。
例えば長期インターンなら、決められたリストへ電話をかけ続けるだけなのか、営業結果を見ながら自分でトークや対象顧客を改善できるのかで、得られる経験はかなり違う。
サークルでも、ただ参加するだけなのか、イベントを企画する側へ回るのかで違う。
アルバイトでも、与えられた仕事だけをするのか、新人教育や業務改善まで任せてもらうのかで違う。
学生時代は、経験の派手さよりも、自分で考える余白がどれくらいあるかを見て活動を選んでもいい。
9就活のためだけに変な実績を作る必要はない
ここまで読むと、「では就活のために代表やリーダーにならないといけないのか」と思うかもしれない。
そういう話ではない。
肩書きを取ること自体には、それほど意味はない。
サークル代表でも、前年通りの活動をそのまま続けただけなら、自立性はあまり見えない。
逆に役職がなくても、「この問題があると思ったので、自分から提案して3人を集めて改善した」という経験なら、自立性と協調性は十分に伝わる。
だから、
- 部長
- 代表
- リーダー
- 起業家
といった肩書きを集める必要はない。
必要なのは、自分で考えて何かを変えた経験だ。
その方が就活だけでなく、実際に社会人になった後にも使える。
10社会人になると「ポテンシャル」だけでは売りにくくなる
新卒就活でこうした経験を作っておいた方がいい理由は、社会人になると評価基準が少しずつ変わるからだ。
学生なら、「この人は将来できそうだ」というポテンシャルを買ってもらえる。
でも社会人経験が増えるほど、
- 実際に何をやったのか
- どんな成果を出したのか
- 何を任せられるのか
- どんな専門性を持っているのか
を見られるようになる。
だから新卒就活は特殊だ。
大きな仕事の成果がまだなくても、自分の考え方や行動の仕方そのものを評価してもらえる。
その機会を使いたい。
学生時代に、自分で考え、人と協力し、何かを動かし、失敗して改善した経験を積んでおけば、就活でも話せるし、入社後にもそのまま仕事の進め方として使える。
11結論:自分で考えて、周囲と一緒に動かせる人を目指したい
就活になると、TOEIC、資格、留学、インターン、サークルなど、いろいろな「就活に強そうなもの」が目に入る。
もちろん、それぞれに価値はある。
でも、その肩書きだけを集めても十分ではない。
企業が採用したいのは、将来仕事を任せられる人だ。
そのために重要なのが、自分で考えて仕事を前に進める自立性と、周囲と協力して成果につなげる協調性だと思う。
学生時代から、
- 自分で問題を見つける
- 情報を集めて考える
- 判断する
- 人に相談する
- 周囲を巻き込む
- 実行する
- 失敗したら原因を考える
- 次の行動を修正する
という経験を一つでも作っておきたい。
就活で一番強いのは、「私はこんなすごいことをしました」と言えることではない。
「この人なら会社に入ってからも、自分で考えて、周囲と一緒に仕事を進めてくれそうだ」と思わせること。
就活生がアピールすべきは、「自立性」と「協調性」だ。