1結論:他の人を好きになっただけで今の結婚を失敗だと判断しない方がいい
結婚している。
夫婦仲もそこまで悪くない。
それなのに、職場の人が気になる。昔の知人と話しているうちに惹かれた。配偶者とは違うタイプの人にドキドキする。
こういうことは起こり得る。
結婚したからといって、配偶者以外の異性を一切魅力的に感じなくなるわけではない。
そして重要なのは、他の人を好きになったことと、今の結婚が間違っていたことは同じではないということだ。
不倫の動機についての研究でも、理由は一つではない。現在の関係への不満、愛情の低下、性的な不満、無視されている感覚だけではなく、性的欲求、新しい経験への欲求、自尊心、状況的な機会など複数の動機が報告されている。つまり、外へ気持ちが向いたからといって、必ずしも現在の夫婦関係が破綻しているわけではない。
だから、他の人が気になったときは、まず「好きになってしまった」という感情そのものより、なぜその人に惹かれているのかを考えた方がいい。
その理由によって、取るべき行動はかなり変わる。
2外に気持ちが向く理由は大きく分けた方がいい
他の人を好きになる理由をすべて「夫婦仲が悪いから」でまとめると判断を誤る。
少なくとも、いくつか違うパターンがある。
2-1今の結婚とは関係なく魅力的な人が現れた
一番単純なのがこれ。
夫婦仲は悪くない。
家でも普通に話す。
配偶者への愛情もある。
それでも、魅力的な人に出会う。
見た目が好みかもしれない。話していて楽しいかもしれない。仕事ができて格好よく見えるかもしれない。自分とは違う価値観が新鮮に感じるかもしれない。
これは、現在の夫婦関係の欠陥が原因とは限らない。
人間の感情は婚姻届を出した瞬間に止まるわけではないからだ。
このタイプで危ないのは、
「他の人を好きになったということは、本当は夫や妻を愛していなかったんだ。」
と必要以上に意味づけしてしまうこと。
新しい人への高揚感と、長年一緒に暮らしている配偶者への安定した感情を比較すれば、新しい側が刺激的に感じるのは当然でもある。
2-2今の夫婦関係で足りないものを外で補っている
次に考えたいのが、今の結婚で感じている不足だ。
例えば、
- 最近ほとんど話を聞いてもらえない
- スキンシップがない
- 異性として扱われている感覚がない
- 感謝されない
- 尊敬されている感じがしない
- 家ではいつも親や家事担当としてしか見られない
- 仕事や悩みを理解してもらえない
そんなときに、自分を褒めてくれる人が現れる。
話を聞いてくれる。
異性として扱ってくれる。
すると、その人への魅力はかなり大きく感じやすい。
関係満足度、感情的親密さ、性的満足度が低い人ほど不倫関連行動と関連しやすいという研究もあり、既存関係の不足が外部への関心と結びつく場合は確かにある。
この場合、大事なのは「その人が運命の相手なのか」だけではない。
今の夫婦関係の何が不足していたのかを見る。
もし新しい相手が消えても、その不満が残るなら、まず向き合うべきなのは現在の結婚の方かもしれない。
2-3すでに今の結婚から気持ちが離れている
三つ目は、もっと深刻なケース。
配偶者への恋愛感情だけではなく、
- 尊敬がない
- 信頼もない
- 一緒にいることが苦痛
- 話し合う気もない
- 将来を一緒に作りたいとも思わない
という状態になっている。
そこへ別の人が現れる。
すると、新しい人を好きになったことで急に離婚したくなったように感じるが、実際にはその前から今の結婚がかなり弱っていた可能性がある。
この場合は、「外の人を忘れれば全部元通り」とも限らない。
問題の中心が新しい恋ではなく、現在の結婚そのものにあるからだ。
3男性は「好きになる前」に外へ向くこともある
ここには男女で多少違う入口が出ることもある。
ただし、「男性は必ず性、女性は必ず愛情」と二分できるほど単純ではない。男女ともさまざまな理由で外へ向く。
そのうえで平均的な傾向として、男性では性的動機、女性では感情的な動機が相対的に語られやすいという研究蓄積はある。近年の研究でも、男性では性的動機、女性では感情的動機がより目立つ傾向が紹介されている。
男性の場合、必ずしも最初から、
「妻以外の女性を本気で好きになった。」
と始まるわけではない。
例えば、
夫婦関係は普通。
性生活は昔より減った。
職場の女性が魅力的。
向こうから好意も感じる。
少し嬉しい。
2人で食事する。
LINEする。
自分のことを褒めてくれる。
さらに会いたくなる。
気づけばかなり気持ちが入っている。
という流れもあり得る。
つまり、
好きになったから距離を縮めるだけではなく、距離を縮めた結果として好きになることもある。
ここは結構重要だと思う。
最初は「ただの同僚」「ちょっと可愛いと思うだけ」だった。
でも、2人で会う。秘密のLINEをする。悩みを話す。身体的な関係を持つ。
そこまで進めば感情が強くなる可能性は当然ある。
だから、男性側では特に「まだ好きじゃないから大丈夫」という段階で距離を管理することにも意味がある。
4女性は心理的な近さが先に入れ替わることもある
女性側では別の流れも考えられる。
夫との会話が減る。
自分の気持ちを聞いてもらえない。
家庭では妻や母として扱われる。
そこへ職場などで自分自身に関心を持ってくれる男性が現れる。
最初は普通に話す。
でも、その人には仕事の悩みを話せる。
夫には話していないことまで話す。
何かあればその人に連絡する。
いつの間にか、一番気持ちを理解してくれる異性が夫ではなくなっている。
そこから恋愛感情へ進む。
身体的な関係より前に、心理的な距離が逆転しているパターンだ。
もちろん男性にも起こる。
ただ、「何もしていないから不倫ではない」と考えているうちに、夫婦の外にかなり強い心理的な結びつきを作っていることはあり得る。
だから見るべきなのは、セックスしたかどうかだけではない。
誰に一番自分の内面を預けているかも重要だと思う。
5新しい相手と配偶者をそのまま比較すると不公平になりやすい
ここでかなり注意したい。
新しく好きになった相手は、非常に魅力的に見えやすい。
理由は単純で、その人とはまだ「生活」をしていないからだ。
新しい相手と会うのは、
- 仕事中
- 食事
- 飲み会
- デート
- LINE
- 趣味の時間
など、比較的きれいな場面が多い。
一方で配偶者とは、
- 朝の不機嫌
- 家事
- 育児
- お金
- 住宅ローン
- 疲労
- 病気
- 親族問題
- 仕事のストレス
- 生活習慣の違い
まで全部共有している。
つまり比較条件が違う。
配偶者は生活の裏側まで見せている。
新しい人はまだ一番魅力的な部分を見せている。
だから、
「この人とはこんなに楽しいのに、夫とは全然楽しくない。」
「この女性はいつも優しいのに、妻はいつも怒っている。」
だけで判断しない方がいい。
新しい相手と結婚して10年暮らせば、その人にも生活の現実は出てくる。
恋愛相手としての新しい人と、生活共同体としての配偶者を同じ条件で比較しているわけではない。
6一番先に考えたい質問がある
他の人を本気で好きになった。
離婚すべきかもしれない。
そんなときに、一度考えてほしい質問がある。
その人が明日、自分の人生から完全にいなくなっても、今の配偶者と離婚したいか。
これはかなり重要な判定軸になる。
例えば、新しい相手が転勤した。
結婚した。
自分に興味をなくした。
もう二度と会えなくなった。
それでも、
「今の結婚は終わらせたい。」
と思うなら、問題は新しい相手だけではない。
現在の結婚そのものを見直す必要がある。
逆に、
「その人がいなくなるなら、普通に夫や妻との生活に戻りたい。」
と思うなら、
今の結婚を終わらせたいというより、新しい相手への恋愛感情に強く引っ張られている可能性がある。
もう一つ考えてもいい。
その人と将来結婚できなくても、自分は離婚したいか。
新しい相手と結ばれる保証を完全に取り除いて考える。
それでも離婚したい。
なら、現在の結婚を終える理由はかなり独立している。
その人と一緒になれるなら離婚したい。
でも、その人と結婚できないなら今の家庭を維持したい。
なら、一度止まった方がいい。
今の結婚の評価と、新しい恋愛の魅力がかなり混ざっている。
7付き合っているだけなら別れればいい。でも結婚はそう簡単ではない
恋人同士なら、
「他に本気で好きな人ができた。」
「もう今の恋人には気持ちが戻らない。」
なら、今の恋人と別れて次へ行く選択はしやすい。
でも結婚すると話が変わる。
すでに、
- 子ども
- 住宅
- 預貯金や資産
- 家計
- 親族
- 仕事
- 生活圏
- 友人関係
- 配偶者自身の人生
が結びついている。
離婚すること自体が悪いわけではない。
必要なら離婚すればいい。
ただし、新しく発生した恋愛感情だけで、何年もかけて築いた生活全体を動かすにはコストが大きい。
だから結婚後は、感情と意思決定を少し分けて考えた方がいい。
「好き。」
は感情。
「離婚する。」
は人生の意思決定。
同じものではない。
8好きになったこと自体より、その後の行動を管理する
人を好きになる感情そのものは、完全にはコントロールできない。
職場で毎日会う。
魅力的。
話が合う。
惹かれる。
そこまでを、
「既婚者なのにこんなことを思う自分は最低だ。」
と必要以上に責めても仕方がない。
でも、その先はある程度選べる。
例えば、
- 2人きりで頻繁に会う
- 深夜までLINEする
- 配偶者に隠して会う
- 恋愛相談をする
- 相手に好意を伝える
- 身体的な関係を持つ
こうした行動は感情そのものとは違う。
そして行動を重ねるほど、気持ちも強くなりやすい。
だから、
「好きになってしまったから仕方ない。」
ではなく、
好きになった後にどこまでその感情を育てるかは別の問題
と考えた方がいい。
今の家庭を守りたいなら、外の相手との距離を少し取る。
2人で会わない。
私的な連絡を減らす。
深い相談相手にしない。
感情を燃やす材料を減らす。
これは単なる精神論より現実的だと思う。
9外の人が気になったら、今の夫婦関係の健康診断にも使える
他の人への気持ちは、現在の結婚を見直すきっかけにもできる。
例えば、
「なぜこの人にこんなに惹かれるのだろう。」
と考える。
すると、
話を聞いてくれるから。
異性として見てくれるから。
褒めてくれるから。
一緒にいると楽しいから。
尊敬してくれるから。
という答えが出る。
そこで、
「では今の夫婦関係では、それが足りなくなっていないか。」
を見る。
もし不足しているなら、外の人との関係を進める前に現在の夫婦関係を改善できるか試してもいい。
例えば、
- 二人で話す時間を作る
- 不満を伝える
- スキンシップについて話す
- 家事や育児の負担を再調整する
- 二人で出かける
- 自分が寂しいことを伝える
こうしたこと。
外への恋愛感情は、場合によっては、
「今の結婚に何か足りない」という通知
になっていることもある。
通知が来たから、すぐアプリを削除する必要はない。
何が起きているか確認した方がいい。
10それでも今の結婚を続けたくないなら別の話
もちろん、何でも現在の結婚を守ればいいという話でもない。
考えた。
話し合った。
関係を改善しようとした。
それでも、
- 尊敬できない
- 信頼できない
- 一緒にいることが苦痛
- 将来を共有したくない
- 相手も改善する意思がない
という状態なら、離婚を考えるのは自然だと思う。
重要なのは、
「新しい人が好きだから離婚する」のか、「新しい人がいなくてもこの結婚を終えたい」のかを分けること。
後者なら、それは現在の夫婦関係についての判断になっている。
そして離婚するなら、できれば現在の結婚を整理してから次の関係へ進んだ方がいい。
次の相手が本当に合うかどうかは、離婚とは別問題だからだ。
11結論:恋愛感情と結婚の評価は分けて考える
結婚後に他の人を好きになることはある。
夫婦仲が悪いから起きることもある。
性生活への不満かもしれない。
話を聞いてもらえない寂しさかもしれない。
自分を異性として扱ってくれる人が現れたからかもしれない。
あるいは、今の夫婦関係には大きな問題がなくても、単純に魅力的な人と出会っただけかもしれない。
不倫の動機は実際に多様で、関係不満だけでは説明できない。
だから、
「他の人を好きになった。」
だけで、
「今の夫や妻は運命の相手ではなかった。」
「この結婚は失敗だった。」
と結論づけなくていい。
まず考える。
なぜその人に惹かれているのか。
今の夫婦関係に何か足りないのか。
それとも単純に新しい人が魅力的なのか。
そして最後に、
その人が明日いなくなっても離婚したいか。
その人と結婚できなくても離婚したいか。
この二つを考える。
結婚前なら、気持ちが変われば別れればいい場面も多い。
結婚後は、子ども、お金、家、家族、長年積み上げた生活までつながっている。
だから人生を動かす基準も少し変えた方がいい。
他の人を好きになる感情そのものと、その人と関係を持つこと。
そして現在の結婚を終わらせること。
この三つは別の判断だ。
結婚後に必要なのは、他の人へ一切惹かれないことではない。
惹かれたときに、その感情だけで今まで築いた人生全体を評価しないこと。
そのうえで、自分が本当に続けたい結婚なのかを改めて考える。
それくらいの距離を置いて判断した方がいい。