1結論:結婚後は恋愛感情が薄れる前提でいた方がいい
結婚するなら、恋人時代と同じ恋愛感情が何十年も続くことを前提にしない方がいい。
付き合い始めた頃は、会えるだけで嬉しい。LINEが来れば気になる。触れたいと思う。相手を異性として強く意識する。
でも、同じ相手と長く一緒に暮らし、仕事をし、家事をし、子どもを育て、毎日の生活を共有するようになれば、その熱量が変化することは珍しくない。
研究でも、関係が長くなるにつれて性的な頻度や性的満足が平均的には低下する傾向が報告されている。一方で、長期関係でもロマンティックな愛情を維持している人はいるため、「結婚すれば必ず恋愛感情がなくなる」とまでは言えない。
大事なのは、恋愛感情が薄れることと、愛情がなくなることを同じにしないことだと思う。
結婚生活で見るべきなのは、ドキドキが残っているかだけではない。
相手を信頼できるか。尊敬できるか。困ったときに助け合えるか。一緒にいると安心できるか。相手の人生を大切にしたいと思えるか。
長く続く結婚では、愛情の中身そのものが変わっていく。
2恋愛初期の感情を一生の基準にしない
恋愛初期には、相手との関係そのものが新しい。
次にいつ会えるのか分からない。まだ完全には相手を知らない。付き合えるかどうかも分からない。相手からどう思われているかも気になる。
そこには新鮮さや不確実性がある。
結婚すると、それが大きく変わる。
朝起きれば横にいる。仕事から帰れば家にいる。週末も一緒にいる。相手の機嫌が悪い日も、体調が悪い日も、だらしないところも見る。
恋人だった相手が、生活を共同運営する相手になる。
だから、恋人時代とまったく同じ感情が続かないこと自体を、「結婚相手を間違えた証拠」と考える必要はない。
むしろ、恋愛初期の高揚感を結婚生活の正常値に設定すると、普通に安定した関係まで失敗に見えてしまう。
3愛情は恋愛感情だけではない
「愛している」という言葉には、かなり違うものが混ざっている。
例えば、夫婦の愛情は少なくとも次のように分けて考えられる。
- 恋愛感情:会いたい、ドキドキする、相手を異性として強く意識する
- 身体的親密さ:キス、セックス、抱きしめる、触れる
- 愛着:一緒にいると安心する、帰る場所だと感じる
- 尊敬:人間として評価している、相手の考え方や姿勢を認めている
- 信頼:困ったときに逃げない、裏切らないと思える
- 思いやり:相手が楽になるように行動する
- 責任:家族として必要な役割を引き受ける
- 共同体意識:「自分がどうしたいか」だけでなく「2人や家族としてどうするか」を考える
若い恋人同士なら、恋愛感情や身体的な魅力の比重がかなり大きいこともある。
長く一緒にいる夫婦では、そこから愛着、信頼、責任、共同体意識の比重が大きくなっていくことがある。心理学でも、強い情熱を伴う愛と、親密さや愛着を中心とした伴侶的な愛を区別して考える研究がある。
だから、「昔ほどドキドキしない」という一項目だけで夫婦の愛情全体を判定しない方がいい。
4良い夫婦は「ずっと恋人」だけではない
理想の夫婦として、
「何歳になっても恋人同士みたい」
という言葉はよく使われる。
もちろん、それを維持できるなら素晴らしい。
ただ、それだけを唯一の理想にしなくてもいい。
例えば、結婚15年。
付き合った頃のように毎日会いたいとは思わない。以前ほどセックスもしない。LINEも業務連絡が多い。
それでも、
- 相手が病気なら心配する
- 仕事で落ち込んでいたら支える
- 相手の能力や人間性を尊敬している
- 大事なことは相談する
- 一緒にいると落ち着く
- 困ったときは最終的に味方になる
- 家族としてこれからも一緒に生きたいと思う
なら、かなり強い関係だと思う。
恋人時代の熱量は落ちていても、愛情そのものが消えたとは言えない。
むしろ長期的には、「好きで仕方がない」から「この人と一緒に人生をやっていきたい」へ変化することも、愛情の一つの成熟だと考えた方がいい。
5ただし「恋愛感情は薄れるもの」で何でも許してはいけない
ここは逆方向にも注意したい。
「夫婦なんてそんなもの。」
で全部済ませてはいけない。
恋愛感情が薄れることと、夫婦関係そのものが壊れていることも違うからだ。
例えば、
5-1恋愛感情は弱いが、関係は良い
- ドキドキは減った
- セックスは以前より少ない
- デートも減った
- でも会話はある
- 尊敬している
- 信頼している
- 困ったときは助け合う
- 一緒にいること自体は嫌ではない
これは、十分に成立している夫婦関係だと思う。
5-2少し立て直した方がいい
- スキンシップがほとんどないことを一方がつらいと感じている
- 会話が業務連絡だけになっている
- 2人で過ごすことを避けるようになった
- 相手への不満を長期間言えない
- 家事や育児の負担が一方に偏っている
- 相手よりスマホを見ている時間の方が圧倒的に長い
このあたりなら、まだ「愛情がない」と即断するより、夫婦の運用を見直す段階だろう。
5-3かなり危険
- 相手を人として軽蔑している
- 相手の不幸を気にしなくなった
- 嘘や裏切りを繰り返している
- 話し合おうとしても一切応じない
- 相手を傷つける言葉を日常的に使う
- 一緒にいること自体が強い苦痛になっている
ここまで来ると、単なる「恋愛感情の低下」と同じ箱には入れない方がいい。
ドキドキが減ったことより、尊敬・信頼・思いやりまで消えていることの方が問題は大きい。
6恋愛感情を残したいなら努力する価値はある
「恋愛感情はいずれ薄れる。」
だから何もしなくていい、という話でもない。
長期関係でもロマンティックな愛情が維持される場合はあり、親密さの変化と情熱には関連があることも研究されている。つまり、長く一緒にいるから恋愛的な要素が完全になくなる運命だと決めつける必要もない。
恋人時代には自然にやっていたことを、結婚後は意識的に作る必要が出てくる。
例えば、
- 2人だけで出かける
- 相手の話をちゃんと聞く
- 新しい場所へ行く
- 誕生日や記念日を祝う
- 身だしなみに最低限気を使う
- 手をつなぐ、抱きしめるなど軽いスキンシップを取る
- 夫婦だけの時間を意識して確保する
こういうこと。
恋愛初期は何もしなくても相手に興味を持てる。
10年後は、仕事、子ども、家事、スマホ、趣味など、相手以外にも大量のものが注意を奪う。
だから、恋愛感情が自然発生するのを待つのではなく、恋愛感情が生まれやすい環境を夫婦で作るという発想も必要になる。
ただし、それでも20代の付き合い始めと同じ熱量にならないからといって失敗ではない。
7結婚相手は「恋愛感情が薄れた後」を想像して選びたい
だから、結婚相手を選ぶときには一つ考えておいた方がいい。
この人への強い恋愛感情が今より薄れたとしても、一緒に暮らしていけるか。
顔を見るだけで嬉しい。
毎日LINEしたい。
抱きしめられたい。
今はそう思っていてもいい。
でも、その感情をいったん弱めて考えてみる。
そのときに残るものは何か。
- 人として尊敬できるか
- 金銭感覚は大きくズレていないか
- 約束を守るか
- 家事や育児を一緒に担えそうか
- 問題が起きたとき話し合えるか
- 機嫌が悪いときに他人を傷つけないか
- 仕事や人生への考え方を認められるか
- 一緒にいると安心できるか
ここが強い相手なら、恋愛感情の波が下がっても関係を維持しやすい。
逆に、今の強烈な恋愛感情を取り除いた瞬間に何も残らないなら、結婚については少し慎重に考えた方がいい。
結婚相手を選ぶときに必要なのは、今どれだけ好きかだけではなく、好きの形が変わった後に何が残るかを見ることだと思う。
8結論:恋愛感情が薄れることを結婚の失敗にしない
結婚後は、恋愛感情が薄れる前提でいた方がいい。
必ずなくなるわけではないし、長期的に強いロマンティックな愛情を維持する夫婦もいる。
ただ、恋人時代と同じ新鮮さ、性的な熱量、会いたくて仕方がない感覚が何十年も自然に続くことを、結婚生活の合格条件にはしない方がいい。
結婚後に見るべきなのは、もっと広い。
恋愛感情が薄くなったとき、
愛着があるか。尊敬できるか。信頼できるか。思いやれるか。身体的な親密さをお互いが納得できる形で保てているか。一緒に人生を運営していきたいと思えるか。
ここを見る。
恋愛感情が薄れた。
だから愛していない。
だから結婚相手を間違えた。
そう単純に判断しなくていい。
むしろ結婚する前から、恋愛感情は変化するものだと知っておく。
そのうえで、恋愛感情が薄れた後にも残るものが多い相手を選ぶ。
長い結婚生活を考えるなら、それくらいの期待値でいた方がいい。