1結論:大学受験は人生のリソースを全部使うほどではない

大学受験は大事だ。

どの大学に進むかによって、周囲にいる人、就活で受けやすい企業、得られる機会はある程度変わるので、学歴を軽視する必要はない。

ただし、大学受験に人生のリソースを全振りする必要もないと思う。

高校生が持っている時間、集中力、体力には限りがあり、受験勉強に1000時間使えば、その1000時間は他のことには使えない。

例えば、

  • 部活
  • 友人関係
  • 恋愛
  • 英語の実用力
  • プログラミング
  • 創作
  • スポーツ
  • 音楽
  • 商売
  • 自分が本当に興味のある分野

に時間を使うこともできる。

もちろん、難関大学に入ること自体には価値がある。

でも、大学名を一段上げるために追加で何百時間、何千時間も使うことが、人生全体で本当に一番リターンの高い選択かは別問題だ。

大学受験も、人生の中にある一つの投資先にすぎない。

だから、どこまで頑張るかは、人生全体のリソース配分として考えた方がいい。

2学歴には大きな価値がある。でも青天井で追う必要はない

学歴に価値がないとは思わない。

就活では大学名を見る企業もあるし、難関大学へ行けば周囲に優秀な学生が増え、卒業生ネットワークや大学名そのものが信用として働く場面もある。

だから、「どこの大学でも同じ」という話ではない。

ただ、学歴には限界効用があると考えた方がいい。

例えば、就職でかなり選択肢が狭い状態から、幅広い企業を受けやすい大学へ上がる価値は大きい。

一方で、すでに十分に評価される大学へ届いている人が、さらに大学名を一段上げるために大量の時間を使う場合、その追加投資が人生をどこまで変えるかは人によってかなり違う。

大学受験では上を見れば終わりがない。

早慶に届きそうなら東大や一橋を考えられるし、さらに上を目指すこともできる。

だから、「行ける中で最も偏差値の高い大学へ行く」ことだけを唯一の正解にすると、受験への投入量も際限がなくなる。

どこかで、「ここまで取れれば十分」というラインを持っていい。

3受験勉強は競争相手も同じようにやっている

受験勉強の難しいところは、自分だけが努力しているわけではないことだ。

難関大学を目指す高校生なら、周囲も同じように英単語を覚え、問題集を解き、過去問を進めている。

もちろん努力量や勉強効率には差がある。

それでも、大学受験はかなり多くの人が同じ方向に努力する競争なので、勉強時間を増やした分がそのまま他人との差になるわけではない。

一方で、高校時代に次のようなことへまとまった時間を使う人は少ない。

  • プログラミングでサービスを作る
  • イラストや動画制作を続ける
  • スポーツで高いレベルまで行く
  • SNSやメディアを運営する
  • 商売を経験する
  • 英語を実際に使える水準まで伸ばす

同じ1000時間でも、使う場所によって差別化のしやすさは違う。

大学受験では多くの人が似た努力をしている一方で、ある一つの分野に1000時間使った高校生は、それだけでかなり珍しい存在になることもある。

だから、受験勉強だけが将来のための自己投資ではない。

4学力と仕事で成果を出す能力は同じではない

大学受験で評価される能力と、社会人になってから必要になる能力には重なる部分もある。

例えば、

  • 学習する力
  • 継続する力
  • 情報を処理する力
  • 文章を読む力
  • 論理的に考える力

は、社会に出てからもかなり役に立つ。

ただ、それだけで仕事ができるわけではない。

社会人になると、

  • 自分で判断する
  • 人に説明する
  • 周囲を巻き込む
  • 相手と交渉する
  • 顧客が何を求めているか考える
  • 不確実な状態でも前に進める
  • 失敗したあとに修正する
  • 専門性を作る

といった能力も必要になる。

大学入試で1点でも高く取る能力を極限まで伸ばすことと、社会で高い価値を出せる人になることは完全には一致しない。

だから高校時代に、受験勉強以外の能力を伸ばす時間を残すことにも意味がある。

大学受験の成績だけを、18歳時点の能力のすべてだと思わない方がいい。

5「一芸に秀でる」はかなり強い

人生全体で見ると、一つでも明確な強みを持っている人は強い。

例えば、

  • コードを書ける
  • 動画を作れる
  • 営業が得意
  • 英語を話せる
  • 絵が描ける
  • スポーツが強い
  • 人前で話すのがうまい
  • 文章を書ける
  • お金を稼ぐ経験がある

といったものだ。

もちろん、高校時代に完成している必要はない。

ただ、「自分はこれなら周囲より少し得意だ」と言えるものを一つ持って大学へ入るだけでも違うし、大学に入ってからさらに伸ばすこともできる。

一方で、受験だけに全振りすると、「大学には受かったけれど、勉強以外に自分の強みが分からない」という状態になることもある。

それ自体が悪いわけではないし、大学に入ってから探してもいい。

でも、高校時代から好きなことや得意なことがあるなら、受験のために全部止める必要もないと思う。

偏差値を1上げることと、自分の強みを1つ作ること。

人生全体では、後者の方が大きなリターンになる場合もある。

6燃え尽きるほど受験をやる必要もない

大学受験は長い。

高校1年から考えれば3年間あり、その間ずっと「もっと勉強しないと」「この大学では足りない」と追い続ければ、疲れる人もいる。

そして、大学へ入った瞬間に目標がなくなることもある。

高校時代のほぼすべてを大学合格のために使い、合格したところで力尽きると、

  • 授業へ行かなくなる
  • 新しいことを始める気力がない
  • サークルにも入らない
  • インターンもしない
  • 何となく4年間を過ごす

という状態になるかもしれない。

それでは、受験で一段上の大学へ入ったメリットを十分に使えない。

大学合格はゴールではなく、その後にも大学生活、就活、仕事、結婚、子育てと人生は続く。

だから高校時代で燃え尽きるほど、一つのイベントへ全リソースを使う必要はない。

大学へ入った後に動ける余力を残しておくことも、長期的には大事だ。

7「ほどほど」は勉強しなくていいという意味ではない

ここまで読むと、「では受験勉強なんてしなくていいのか」と思うかもしれない。

そういう話ではない。

大学受験にはある程度努力した方がいいし、少し頑張ることで進学先が大きく変わるなら、受験勉強のリターンはかなり高い。

例えば、今のままだと進学先や就職先の選択肢がかなり狭いけれど、1年間しっかり勉強すれば、就職でも広く評価される大学群へ届くとする。

この場合は、受験勉強へ時間を使う価値が大きい。

だから、学歴が人生の大きな足かせにならないところまでは、きちんと取りにいく。

問題は、その先だ。

すでに十分な大学へ届いているのに、「もう一段上へ行かなければ人生が終わる」と考えて、他のすべてを犠牲にする必要はない。

受験勉強へ追加で1時間使うリターンと、別のことへ1時間使うリターンを比較する。

それが、ここで言う「ほどほど」だ。

8学歴コンプを受験だけで解決しようとしない方がいい

大学受験に全力を注ぐ理由として、「将来学歴コンプレックスを持ちたくない」という気持ちもあると思う。

「あのときもっと勉強しておけばよかった」と後悔したくないから、できるだけ高い大学を目指す。

それも一つの考え方だ。

ただ、学歴コンプレックスは大学名だけで完全に解決するとは限らない。

上には必ず誰かがいるので、難関大学へ入っても「あっちの大学の方が上だった」と比較し続けることはできる。

だから、学歴コンプへの対策は、できるだけ高い大学へ入ることだけではない。

社会人になって、

  • 仕事で成果を出す
  • 高い収入を得る
  • 専門性を作る
  • 人から評価されるものを持つ
  • 自分が好きなことを極める

ことでも、大学名の重要度は相対的に下がっていく。

「自分にはこれがある」と思えるものが増えるほど、学歴だけで自分の価値を測る必要はなくなる。

だから高校時代から、学歴以外にも自分の強みを作るという発想を持っておいていい。

9保護者は「一番高い大学」だけを目標にしない方がいい

保護者からすると、子どもにはできるだけ良い大学へ行ってほしいと思う。

将来苦労してほしくないし、良い会社へ入ってほしいし、選択肢を増やしてあげたい。

その気持ちは自然だと思う。

ただ、18歳時点で子どもに残したいものは大学名だけではない。

例えば、

  • 自分で勉強できる習慣
  • 一つ得意なこと
  • 友人関係
  • 体力
  • 自信
  • 新しいことへ挑戦する余力
  • 大学で何かやってみたいという意欲

も残っていた方がいい。

大学名を一段上げるために、これらを全部削る必要があるのかは一度考えたい。

受験勉強でしか得られないものもある一方で、受験勉強以外でしか得られないものもある。

子どもの高校3年間を、大学名だけで評価しない方がいい。

10受験に使うと決めた時間の中では効率よく戦えばいい

大学受験をほどほどにすることと、適当に受験することは違う。

むしろ受験に使う時間を限定するなら、その中では効率よく戦った方がいい。

そのためには、

  • 自分が得意な科目を知る
  • 苦手科目へどれくらい時間がかかるか知る
  • 自分が勝てる入試方式を選ぶ
  • 志望大学に必要な科目へ集中する
  • 不要な選択肢を早めに捨てる

ことが重要になる。

何となく全部の科目をやり、何となく国公立の可能性を残し、何となく上から難関大学を目指していると、勉強時間はいくらあっても足りなくなる。

受験に人生を全部使わないために、受験戦略はむしろ明確にした方がいい。

限られた時間で必要な大学に受かり、残った時間を別のものへ使う。

その方が人生全体では合理的だと思う。

11結論:学歴を取りにいきつつ、学歴以外の人生も作っておきたい

大学受験は大事だ。

学歴によって開く選択肢もあるので、ある程度は頑張った方がいい。

でも、高校生活のすべてを大学受験へ使う必要はない。

受験勉強に使う時間には機会費用があり、その時間を使って次のようなものを伸ばすこともできる。

  • 得意なこと
  • 新しい経験
  • 人間関係
  • 実用的なスキル
  • 自分が何に向いているかを知る経験

大学名を一段上げることが、そのすべてより重要とは限らない。

だから、大学受験はほどほどでいい。

ただし、「適当でいい」という意味ではない。

学歴が人生の大きな足かせにならないラインまでは取りにいく。その先は、大学名をさらに一段上げることと、別の強みを作ることを比較する。

受験も人生のリソース配分の一つとして考える。

高校3年間を終えたときに残るものが、大学名だけである必要はない。

十分な学歴と、学歴以外の自分の強み。

両方を持って大学へ進めるなら、その方がその後の人生は戦いやすいと思う。