1結論:人生は「機会」と「選択」のゲームだ
人生は、一度大きく勝てば終わるゲームではない。
いい大学に入れば勝ちでもないし、大企業に入れば勝ちでもない。
高い年収を得ても、それだけで人生が自動的にうまくいくわけではない。
人生を大きく左右するのは、どんな機会にアクセスできるかと、その中から何を選ぶかだと思う。
いい大学に入ることには価値がある。
でも、その価値は大学名そのものより、将来アクセスできる企業、人、情報、経験が増えることにある。
東京に住むことにも似たところがある。
東京に住めば自動的に成功するわけではないが、仕事、教育、人との出会い、文化など、選べるものは増えやすい。
年収を上げることも同じだ。
お金そのものだけではなく、住む場所、結婚、子育て、働き方について、取れる選択肢が増える。
つまり、人生で手に入れるものの多くは、次の機会を増やすためのカードでもある。
ただし、機会が多いだけでは勝てない。
最終的には、その中から何を選ぶかが必要になる。
人生は、機会を増やし、その機会の中から選択を重ねていくゲームだ。
2いい大学に入っても、そこで人生が決まるわけではない
大学受験までは、人生がかなり単純に見える。
勉強をする。
偏差値を上げる。
いい大学に入る。
ここまでは、比較的ひとつの物差しで競争できる。
だから難関大学に入ると、「かなり人生は安泰になった」と感じやすい。
実際、いい大学へ行くことには大きな価値がある。
就職活動で受けられる企業の幅が広がりやすいし、周囲にも大手企業や専門職を目指す人が増える。
OB・OG、インターン、留学、企業説明会など、情報へのアクセスも増えやすい。
しかし、大学に入った後は急にゲームが複雑になる。
どの業界へ行くか。
どの会社へ行くか。
どの職種を選ぶか。
どこに配属されるか。
どんな上司につくか。
その仕事が自分に合っているか。
専門性がつくか。
転職するか。
社会人になると、大学受験のように偏差値だけを上げればいいわけではない。
いい大学は成功を約束してくれないが、成功につながる機会へのアクセスは増やしてくれる。
大学名はゴールではない。
次の選択肢を増やすものだと考えた方が近い。
3機会が多い人ほど有利なのは間違いない
人生には、本人の努力だけでは決められない初期条件がある。
生まれた家庭。
住んでいる地域。
親の収入。
教育環境。
健康。
本人の得意不得意。
こうした条件によって、最初から見えている機会の数は違う。
東京で育った子と、大学進学のために県外へ出なければならない子では、アクセスできる大学や仕事の距離感が違う。
親が大学進学を当然だと考えている家庭と、身近に大学へ進んだ人がほとんどいない家庭でも、得られる情報は違う。
人生は最初から完全に平等ではない。
だからこそ、自分で動けるようになったら、可能な範囲で機会を増やしていくことが重要になる。
例えば、
- 学力を上げれば、選べる学校が増える
- 収入を上げれば、住める場所が増える
- 専門性を持てば、選べる会社が増える
- 英語ができれば、働ける国や得られる情報が増える
- 貯金があれば、嫌な会社を辞める選択肢が生まれる
- 都市圏に住めば、仕事や人との出会いが増える
という形で、ひとつの強みが次の機会につながる。
人生を有利にするものは、それ単体の価値だけではなく、次に何を選べるようになるかまで見た方がいい。
4ただし、機会を増やすだけでは足りない
ここが難しいところだと思う。
選択肢が多ければ、その中から自然に正解を選べるわけではない。
例えば、難関大学に入れば、多くの企業を受けられる。
それでも、就職活動をほとんど調べず、最初に内定した会社へそのまま入ることもできる。
大企業へ入れば、いろいろな仕事を経験する機会がある。
それでも、目の前の仕事だけを続け、どんな専門性がついているのかを考えないまま30代になることもある。
高い年収を得れば、生活の選択肢は増える。
それでも、支出を膨らませれば、会社を辞められない生活になることもある。
機会があっても、それをどう使うかは別の能力になる。
だから人生は、
機会を増やすゲームであると同時に、選択するゲームでもある。
どちらか一つだけでは足りない。
5人生は途中から急に多次元になる
子どもの頃は、比較的ゲームのルールが分かりやすい。
学校ではテストの点数があり、順位がある。
受験では偏差値があり、合格と不合格がある。
だから、勉強ができれば「自分は順調に進んでいる」と判断しやすい。
ところが社会人になると、評価軸が一気に増える。
例えば会社員として考えるだけでも、
- 年収
- 会社の安定性
- 仕事内容
- 専門性
- 市場価値
- 昇進
- 働く時間
- 勤務地
- 人間関係
- 健康
- 家庭との両立
など、複数の要素を同時に考える必要がある。
しかも、すべてを最大化することは難しい。
年収を上げれば忙しくなることがある。
やりたい仕事を選べば、勤務地が限定されることもある。
安定した会社に残れば、専門性が伸びにくい場合もある。
転職すれば年収が上がっても、働き方が悪くなることもある。
人生は途中から、ひとつの偏差値で測れないゲームになる。
だから、いい大学へ入ったからといって、そこから先も自動的に上位へ進めるわけではない。
人生の難しさは、途中から選択肢が増えることにある。
6選択肢を増やすことにもコストがある
選択肢は多い方がいい。
ただし、選択肢を残すことにもコストがある。
例えば大学受験で、国公立も私立もすべて狙おうとすれば、多くの科目を勉強し続ける必要がある。
将来どんな仕事にも行けるようにしたいと考えて、何年も専門性を絞らなければ、結果として何も強みができないこともある。
転職できる状態を維持しようとして、仕事外でも勉強を続ければ、その時間は趣味や家族には使えない。
人生では、
選択肢を増やすために使うリソースと、その選択肢を実際に使うためのリソース
の両方が必要になる。
だから、何でも残せばいいわけではない。
ある段階では選択肢を広げ、別の段階では絞る必要がある。
若いうちは広く機会を増やす。
ある程度自分の得意不得意や希望が見えたら、勝てる場所へ寄せていく。
この切り替えが重要になる。
7「正しい選択」は人によって違う
人生の攻略を考えるとき、誰にでも共通する唯一の正解を作るのは難しい。
年収を最優先したい人もいる。
家族との時間を重視したい人もいる。
東京で暮らしたい人もいれば、地方で広い家に住みたい人もいる。
子どもを2人欲しい人と、子どもを持たない人でも必要な収入は変わる。
だから大事なのは、「世間で一番評価される選択」をすることではない。
自分が欲しい人生に必要な条件を先に決め、その条件を満たす可能性が高い選択をすることだと思う。
例えば、子どもを2人育てながら住宅や教育にもある程度余裕を持ちたいなら、必要な世帯年収から逆算して仕事や結婚相手を考える。
東京の雇用市場を使いたいが住宅費は抑えたいなら、首都圏郊外に住むという選択が出てくる。
会社員として高年収を目指したいなら、新卒時点で業界や会社をかなり意識する必要がある。
重要なのは、選択を単体で見るのではなく、その選択が次の人生にどんな機会を残すかを見ることだ。
8いい選択をするには、情報が必要になる
選択には情報が必要だ。
知らない会社は受けられない。
知らない制度は使えない。
知らない職種は目指せない。
知らない街には住もうと思わない。
知らない生き方は、自分の選択肢にすら入らない。
この意味で、人生では情報格差もかなり大きい。
例えば大学生の周囲に商社やコンサルを目指す人が多ければ、自然とその業界の待遇や選考情報が入ってくる。
周囲に転職経験者が多ければ、転職は特別なものではなく、普通の選択肢として認識しやすい。
親が資産運用をしていれば、子どももNISAや投資について早く知るかもしれない。
機会は、存在しているだけでは意味がない。
その機会があると知ることではじめて、選択できる。
だから、情報へアクセスできる環境を持つこと自体が、人生の重要な資産になる。
9失敗しないことより、次の選択肢を残すことを考える
人生では、すべての選択を当てることはできない。
入った会社が合わないこともある。
選んだ仕事が思っていたものと違うこともある。
結婚してから価値観が変わることもある。
住んだ街が合わないこともある。
だから、最初から完璧な選択を狙い続けるより、間違えたときに修正できる状態を作っておく方が重要だと思う。
例えば、
- 市場価値のあるスキルを持つ
- 貯金を作る
- 過度に高い固定費を持たない
- 転職市場を定期的に見る
- 健康を崩すほど働かない
- 人間関係を一つの場所だけに依存しない
といったことは、すべて次の選択肢を残す行動でもある。
人生の攻略とは、常に正解を選ぶことではない。
外したときに、もう一度選べる状態を作ることでもある。
10人生の勝率は「機会」と「選択」で上げられる
人生には、自分では選べなかった条件がある。
生まれた場所も、家庭も、才能も、自分で決めたものではない。
だから最初から持っているカードには差がある。
これは変えられない。
でも、その後にできることはある。
学力を上げる。
情報を集める。
収入を上げる。
住む場所を変える。
専門性を作る。
人に会う。
必要なら環境を変える。
こうした行動によって、自分がアクセスできる機会は増やせる。
そして機会が増えたら、その中から自分にとって期待値の高いものを選ぶ。
その選択が、また次の機会を作る。
人生は、機会と選択が連鎖していくゲームだ。
いい大学へ行くことも、高年収になることも、東京に住むことも、それ自体が最終目的とは限らない。
それらは、自分の人生で選べるものを増やすための手段にもなる。
人生は平等ではない。
最初に配られるカードも違う。
それでも、今持っているカードからアクセスできる機会を増やし、その中からより良い選択を重ねることはできる。
人生の攻略とは、機会を増やし、選択の精度を上げ続けることだ。