1結論:教育費に限りがあるなら大学資金を先に確保した方がいい
子どもの教育にどこからお金をかけるか。
中学受験、私立中高、大学、留学、塾、習い事。
全部できるならもちろん全部やればいい。
でもほとんどの家庭には予算がある。
だったら優先順位を決める必要がある。
そのとき最初に確保したいのは、大学資金。
中学受験ではない。
特に子ども2人なら、2人とも大学まで進学できる資金を先に確保して、そのうえで余裕があるなら中学受験。
この順番にしたい。
中学受験を否定しているわけではない。
行きたい学校がある。本人が受験したい。公立中の環境に不安がある。中高一貫教育に魅力を感じる。
そういう家庭なら十分ありだ。
ただ、家計に余裕がない状態で大学資金より先に中学受験へ大きなお金を使うことは、一度考えたい。
2大学資金を先にしたい理由は「18歳の選択肢」を残したいから
中学校、高校、大学のどこにお金をかけるか。
この中で仕事や進路に最も近いのは大学だ。
大学では専攻、研究、資格、就職、インターン、人脈など、その後のキャリアに直接つながるものが増える。
さらに国公立、私立、文系、理系、医療系、自宅通学、一人暮らし、海外留学と、進路によって必要な金額もかなり変わる。
だから一番守りたいのは、子どもが18歳になったとき、お金を理由に進路を狭めなくていいこと。
2-1中学受験のあとにも大きな教育費が続く
中学受験をすると、受験塾代だけでは終わらない。
私立中、その後の高校、大学まで続く。
私立中と公立中では年間の教育費にかなり差がある。
子どもが2人なら、その差も2人分だ。
教育費は中学受験だけを切り取って考えず、小学校から大学卒業までの総額で見る。
2-2私立中に入れた結果、大学の選択肢が狭くなるなら順番を考えたい
小学生から高い塾代を払い、私立中、私立高校まで進んだ。
その結果、大学進学時に資金が足りず「大学は奨学金を借りてね」となる。
奨学金自体が悪いわけではない。
ただ家計に限りがあるなら、大学資金より先に中学受験へ使う必要があったのかは考えたい。
中学受験は将来の選択肢を増やすための手段だ。
そのために大学、留学、一人暮らしといった将来の選択肢を削るなら、少し本末転倒になる。
3中学受験は「必須」ではなく、追加の教育投資として考える
中学受験には明確なメリットがある。
- 中高一貫教育
- 周囲の学習意欲
- 学校独自の教育
- 大学附属
- 進学指導
- 設備
- 部活動
- 友人関係
つまり私立中学へ払うお金は、単に偏差値を買うというより、6年間の教育環境を買うお金だ。
ここに価値を感じるなら十分意味がある。
ただ、誰にとっても必須ではない。
3-1公立中からでも大学進学はできる
中学受験をしないから大学進学で不利になると決まっているわけではない。
公立中、高校受験、大学受験というルートは普通にある。
難関大学へ進む人もいる。
だから中学受験は、複数ある教育ルートの一つくらいに考えたい。
3-2家計や本人によって価値は変わる
公立中でも十分な地域。本人が受験したくない。高校受験でも問題ない。
そういう家庭なら、数百万円を追加で中学段階へ投入する優先度は下がる。
逆に行きたい中高一貫校があり、本人にかなり合っている、公立中の環境を避けたい、大学附属で別の経験へ時間を使いたいなら価値は上がる。
つまり、中学受験を標準装備にしない。
家庭ごとに判断する。
4子ども2人なら「今払えるか」ではなく教育費の総額を見る
教育費で怖いのは、今の支払いだけを見てしまうことだ。
塾代が月5万円、8万円。今は払える。
でも教育費は長い。
小学校、中学校、高校、大学。その先に一人暮らし、留学、大学院まであるかもしれない。
だから、今払えるかではなく、最後まで払えるか。
ここを見る。
4-1子ども2人なら大学費用が重なる
子どもの年齢差が2歳、3歳なら、大学在学期間が重なることもある。
上の子が大学3年、下の子が大学1年。
私立、自宅外通学ならかなり大きな支出になる。
だから1人分払えるかではなく、教育費のピーク時に2人分を払えるかまで考えたい。
4-2上の子に使いすぎない
1人目は親も教育に力が入りやすい。
塾、習い事、私立といろいろ使う。
でも下の子にも同じように選択肢を与えたい。
上の子には中学受験、下の子にはもうお金がないという状態は避けたい。
だから教育費は子ども単位ではなく、家族全体の予算として決める。
5大学資金は使い道の自由度が高い
大学用として貯めたお金は、大学にしか使えないわけではない。
国公立へ行った、自宅通学になったなどで思ったより学費がかからなければ、大学院、留学、資格、就職時の引っ越し、海外経験に使える。
余れば親の老後資金へ戻してもいい。
つまり、大学資金として残しているお金は、将来の選択肢を保てる。
5-110歳時点では18歳の進路は読めない
小学4年生、10歳の時点で、18歳になったとき何をしたいかは分からない。
医学、美術、理工系、文系、海外大学、専門学校、大学院。
本人の興味は変わる。
だから子どもが小さい段階で教育資金を全部固定しすぎず、18歳の本人が選べる余地を残す。
5-2自宅外通学まで考える
大学費用は学費だけではない。
地方から東京、大阪、別の都市へ進学するなら、一人暮らしの家賃、食費、光熱費、生活費も必要になる。
特に地方で子どもを育てる家庭は、大学資金を厚めに見ておいた方がいい。
「国公立・自宅通学なら払える」だけではなく、私立・理系・自宅外くらいの少し高いケースにもある程度耐えられるようにしたい。
6中学受験をするなら大学資金・老後・住宅を壊さない範囲でやる
どんな家庭なら中学受験をしやすいか。
かなりシンプルで、大学資金を別で準備しながら払える家庭だ。
子ども2人分の大学費用、生活防衛資金、親の老後、住宅ローン。
ここを守ったうえで塾、私立中、私立高校を払えるなら、中学受験を選びやすい。
6-1「払える」と「余裕を持って払える」は違う
年収1000万円だから中学受験できるとは限らない。
住宅ローン、車、子どもの人数、生活水準は家庭ごとに違う。
学校費用を払ったら毎月ほぼ残らない。ボーナス頼み。大学費用はこれから。老後資金は後回し。
なら家計としてはかなり攻めている。
今は払える。でも人生全体では余裕がない。
という状態はある。
6-2老後資金を教育費へ使いすぎない
親として子どもにはできるだけ良い教育を与えたい。
ただ、教育費には上限がない。
私立、塾、留学、海外大学まで全部出せば、いくらでもかかる。
その結果親の老後資金がなくなり、老後に子どもから援助してもらうなら、結局子どもの負担になる。
だから、親の老後を守ることも子どものため。
6-3住宅費とも一緒に考える
住宅と教育の両方に最大額を使うのはかなり重い。
高い住宅ローン、子ども2人、中学受験、私立中高、大学。
全部取ると家計への負担は大きい。
住宅費を下げる。郊外へ出る。良い公立学区を選ぶ。その分大学資金を残す。
こういう配分も合理的だ。
7中学受験の優先度を上げていいケースもある
大学資金を優先するとはいえ、中学受験を後回しにすべき家庭ばかりではない。
状況によっては優先順位を上げていい。
7-1本人が強く希望している
行きたい学校がある。やりたい部活がある。独自の教育を受けたい。
本人が明確に希望しているなら、中学受験の価値は高くなる。
教育は費用対効果だけで決めるものでもない。
家計の範囲内なら本人の意思を応援していい。
7-2公立中の環境に大きな不安がある
学区の学校が本人に合わない。学習環境、人間関係、学校の選択肢に大きな不安がある。
なら中学受験は単なる学歴投資ではなく、環境リスクを避けるための投資になる。
7-3大学附属や中高一貫に明確な目的がある
大学附属へ入り大学受験競争を減らし、その分部活、留学、研究、別の活動へ時間を使う。
こういう方針もありだ。
中学受験には偏差値以外の価値もある。
ただしどの場合でも、家計を壊してまでやるものではない。
8教育費は「早く使う」より「必要なときに使える」方が強い
教育費は、早く使った家庭ほど有利というものでもない。
むしろ子どもが成長して本人の方向性が見えてきたとき、大学、留学、大学院、資格、研究、自宅外進学など、本当にお金が必要になったときに出せる方が強い。
もちろん子ども時代にしかできない経験もある。
スポーツ、音楽、旅行、海外経験、キャンプ、本人が夢中になっているもの。
そこにはお金を使っていい。
だから全部を大学資金へ貯め込むのではなく、大学資金を守ったうえで、今しかできない経験にも使う。
9教育費の優先順位はこう考えたい
教育費に限りがあるなら、
- 大学進学までの資金
- 日常的な学習環境
- 本人が強く望む経験
- 中学受験・私立中高などの追加教育
このくらいで考えたい。
家庭によって2と3、3と4は入れ替わっていい。
ただ、最初から中学受験ありきにはしない。
まず18歳まで見る。
子ども2人なら、2人とも同じ程度の選択肢を持てるかまで見る。
10結論
教育費に限りがあるなら、中学受験より大学資金を優先した方がいい。
中学受験には価値がある。
良い教育環境、中高一貫、大学附属、友人、経験などメリットは多い。
ただ、必須ではない。
公立中からでも高校、大学へ進める。
一方18歳以降には、大学、一人暮らし、留学、大学院など大きなお金が必要になる可能性がある。
だからまず、子どもが18歳になったとき、お金を理由に進路を諦めなくていい状態を作る。
そのうえで大学資金を準備できる。親の老後も守れる。住宅ローンにも無理がない。本人も受験を望んでいる。中学受験する明確な理由がある。
そこまで揃えば中学受験へお金を使えばいい。
特に子ども2人なら、上の子だけではなく2人とも最後まで支えられるかを見る。
中学受験できる家庭ではなく、中学受験をしても、そのあと大学まで余裕を残せる家庭。
そこまで行って初めて中学受験を家計の選択肢に入れたい。
教育費は、小さいうちにたくさん使った家庭が強いのではない。
子どもが大人になるまで、必要なタイミングで選択肢を残せた家庭が強い。