1結論:ゲームを減らしたいなら、先に「他にやること」を作った方がいい
子どもが休日になると、ずっとゲームをしている。
朝からゲームをして、昼ごはんを食べたらまたゲームをして、気づけば夕方になっている。
親からすると、さすがにやりすぎではないかと思う。
そこで、
「ゲームは1日2時間まで」
「今日はもう終わり」
と時間を制限したくなる。
もちろん、睡眠や学校生活が崩れているなら一定のルールは必要だと思う。
ただ、ゲーム時間だけを減らしても、その空いた時間に何をするのかは別の問題だ。
ゲームを取り上げた結果、YouTubeを見るだけになるかもしれない。
スマホを触るだけになるかもしれない。
何もすることがなくて、親と揉めるだけかもしれない。
だから子どものゲーム時間を減らしたいなら、ゲームを止めることより、ゲーム以外にやることを作る方が先だと思う。
2子どもがゲームをするのは、暇だからでもある
ゲームはかなり強い娯楽だ。
始めればすぐ楽しい。
家から出なくていい。
友達とも遊べる。
天気も関係ない。
何時間でも続けられる。
これに対して、休日に何の予定もない状態で、
「ゲームばかりするな」
と言われても難しい。
他に魅力的な選択肢がなければ、子どもがゲームへ戻るのは自然だ。
例えば、
午前中に何もない。
午後も何もない。
家族も特に出かけない。
友達と外で遊ぶ約束もない。
習い事もない。
この状態で、ゲームだけを制限する。
すると親は「ゲームをやめさせた」と思っていても、子ども側には単に暇な時間が増える。
だから、ゲーム問題を考えるときには、
「なぜそんなにゲームをするのか」だけではなく、「ゲームをしなかったら何をするのか」
まで考えた方がいい。
3「1日何時間まで」だけでは解決しにくい
ゲーム時間を数字で決める方法は分かりやすい。
1日1時間。
休日は2時間。
夜9時まで。
親としても管理しやすい。
ただ、ゲーム時間だけを切り取ると、少し不自然になることもある。
例えば休日に、
午前中は部活。
昼から友達と出かける。
夕方に帰宅して宿題をする。
夜に3時間ゲームをする。
という日があったとして、3時間という数字だけを見れば長く見える。
でも生活全体としては、それほど大きな問題ではないかもしれない。
反対に、ゲームは1日2時間に抑えていても、残りの時間をずっとスマホや動画に使っているなら、親が望んでいた状態とは違う。
つまり、本当に見たいのはゲーム時間ではなく、
- 睡眠が取れているか
- 学校生活が崩れていないか
- 勉強を最低限しているか
- 身体を動かしているか
- 家族以外の人とも関わっているか
- ゲーム以外にも興味があるか
といった生活全体だと思う。
4「やめろ」より「次がある」の方がゲームを終わりやすい
友達とオンラインゲームをしていると、自分だけ抜けるのは意外と難しい。
もう一試合やろう。
次はこのモードをやろう。
あと一人いればチームが組める。
そんな流れが続く。
本人も楽しいので、何もなければそのまま続ける。
そこで親が、
「もうやめなさい」
と言うと、本人からすると楽しい時間を突然切られたように感じる。
一方で、
「17時からサッカーだから準備しないと」
なら話が変わる。
友達にも、
「習い事あるから抜けるわ」
と言える。
ゲームを終わる理由が、親の禁止ではなく次の予定になる。
これはかなり大きい。
ゲームを終わらせるには、ゲームより強い意志を求めるより、終わる理由を外側に作った方がいい。
5習い事には「時間を埋める」以上の価値がある
この意味で、子どもには何かしら習い事をさせる価値があると思う。
もちろん、習い事には本来の目的がある。
水泳なら泳げるようになる。
サッカーなら身体を動かす。
ピアノなら音楽を学ぶ。
塾なら学力を上げる。
英会話なら英語に触れる。
でも、ゲーム問題という観点だけで見ても価値がある。
習い事があれば、
- 家から出る
- 身体を動かす
- ゲーム以外のことへ集中する
- 学校以外の人と会う
- 決まった時間にゲームを切り上げる
ということが自然に起こる。
つまり習い事は、子どもの能力を伸ばすだけではなく、休日の時間の使い方そのものを分散させる装置にもなる。
6「またね」と言える大義名分を作る
子ども同士の人間関係では、友達と違う行動を取るのが難しいことがある。
みんながゲームをしている。
自分だけ抜ける。
本人がゲームに飽きていれば簡単だが、まだ遊びたい気持ちがあると難しい。
さらに、
「親にゲームやめろって言われたから落ちる」
だと、本人も少し言いづらいかもしれない。
でも、
「塾あるからまたね」
「サッカー行ってくる」
「家族で出かけるから落ちる」
なら自然だ。
友達側も納得しやすい。
だから予定には、単に時間を埋めるだけではなく、友達とのゲームから関係を壊さずに離脱できる理由を作るという価値がある。
これは親が思っている以上に大きいかもしれない。
7習い事は学校以外の居場所にもなる
もう一つ、習い事には人間関係を分散する効果もある。
学校の友達しかいない。
その友達グループが毎日ゲームをしている。
そうなると、子ども自身もその文化にかなり影響される。
一方で、
学校ではゲーム好きの友達と遊ぶ。
サッカーでは別の友達と会う。
塾ではまた違う友達がいる。
という状態なら、一つのグループだけに生活全体を合わせなくて済む。
学校で少し人間関係がうまくいかなくても、別の居場所がある。
ゲームの話をしない友達もいる。
運動が得意な自分。
勉強が得意な自分。
音楽が好きな自分。
違う側面を出せる場所が増える。
これはゲームを減らす以上に、子どもの生活全体にとって価値があると思う。
8何の習い事でもいいわけではない
ただ、予定を埋めるためだけに、親が習い事を大量に詰め込むのも違う。
月曜は塾。
火曜は英語。
水曜は水泳。
木曜はピアノ。
土日はスポーツ。
これでは、ゲームをする暇がない代わりに、子どもの自由時間そのものがなくなる。
それも極端だと思う。
大事なのは、ゲーム時間をゼロにすることではない。
ゲーム以外にも本人が楽しめる活動を持つこと。
できれば、子ども自身がある程度やりたいと思えるものがいい。
スポーツが好きならスポーツ。
絵が好きなら絵。
音楽が好きなら音楽。
ものを作るのが好きならプログラミングや工作。
勉強が得意なら塾でもいい。
向いていない習い事を親の不安だけで続けさせる必要はない。
9ゲームと競合するには「楽しい活動」である必要がある
ここはかなり重要だと思う。
ゲームは楽しい。
それに対抗する活動が、
親にやらされる勉強だけ。
苦手な習い事だけ。
では、子どもからするとゲームの方が圧倒的に魅力的になる。
だから、ゲーム以外の予定を作るなら、すべてを「将来役立つもの」にしなくてもいい。
友達とサッカーをする。
公園へ行く。
釣りへ行く。
映画を見る。
ショッピングモールへ行く。
家族でご飯を食べに行く。
旅行をする。
何でもいい。
ゲーム以外にも楽しいものがある状態を作ることが大事だ。
ゲームを魅力のないものにすることは難しい。
それなら、他にも魅力のある選択肢を増やした方がいい。
10親が予定を作る時期と、自分で作る時期は違う
小学生くらいなら、親が予定を用意する割合が大きくてもいいと思う。
習い事へ連れていく。
休日に家族で出かける。
友達と遊べる環境を作る。
まだ自分一人で行動範囲を広げにくいからだ。
中学生、高校生になるにつれて、少しずつ本人に任せる。
部活へ行く。
友達と出かける。
自分で習い事を選ぶ。
アルバイトをする。
自分の趣味を見つける。
親が永遠に休日の予定を組むわけにはいかない。
最終的には、自分でゲーム以外の予定を作れる人になることが理想だと思う。
そのためにも、子どもの頃からゲーム以外の活動をいくつか経験しておく意味がある。
11「家族で出かける」でも十分な日がある
毎週何か特別な習い事をしなければならないわけではない。
休日なら、家族で外へ出るだけでもいい。
昼ごはんを食べに行く。
買い物へ行く。
公園へ行く。
映画を見る。
博物館へ行く。
少し遠くへドライブする。
それだけで一日は変わる。
朝から晩までゲームだったところに、外出が一つ入る。
帰ってからゲームをしてもいい。
親が目指すべきなのは、ゲームの完全排除ではなく、一日がゲームだけで終わらないことだと思う。
12「今日は一日ゲーム」もたまにはあっていい
逆に、休日に一日中ゲームをする日があってもいいと思う。
大人でも、休日に一日映画を見ることがある。
漫画を読み続けることもある。
家から一歩も出ない日もある。
毎回そうでなければ、たまには何もしない休日があっていい。
問題なのは、
毎週そうなる。
長期休暇もずっとそうなる。
ゲーム以外の活動がほとんどない。
という状態だ。
一日だけを切り取って、
「今日は5時間もゲームをした」
と怒るより、1か月くらいの生活全体を見る方がいい。
13家庭の経済力で「ゲーム以外の予定」の作りやすさは変わる
ここには家庭の経済力の問題もある。
習い事にはお金がかかる。
スポーツクラブにも月謝が必要になる。
塾も高い。
楽器を習えば道具もいる。
旅行やレジャーにもお金がかかる。
一方で、ゲームは一度買えばかなり長く遊べる。
YouTubeならほぼ無料で見続けられる。
つまり、家で長時間過ごす娯楽は費用対効果がかなり高い。
だから家庭に余裕があるほど、
スポーツ。
音楽。
塾。
旅行。
キャンプ。
文化体験。
さまざまな選択肢を用意しやすい。
これは現実にある差だと思う。
ゲームばかりしている子どもを見て、「親が管理できていない」とだけ考えるのは簡単だが、そもそも家庭が子どもの余暇に用意できる選択肢の数が違うという面もある。
14お金をかけなくても予定は作れる
ただし、ゲーム以外の予定はすべて有料である必要はない。
公園で遊ぶ。
自転車で出かける。
図書館へ行く。
地域のスポーツクラブを探す。
学校の部活に参加する。
自治体のイベントへ行く。
友達と外で遊ぶ。
家族で料理をする。
こうしたことなら、それほどお金をかけずにできる。
大事なのは高級な体験を大量に与えることではない。
家の中で一人で消費する娯楽以外の時間を持つこと。
その選択肢を家庭ごとに作ればいい。
15中学生までは「勉強の予定」を入れる意味もある
中学生くらいまでは、学力にある程度力を入れた方がいいと思う。
その意味では、ゲーム以外の予定の中に勉強を入れることにも意味がある。
例えば休日なら、
午前中に宿題や勉強をする。
午後は部活や習い事へ行く。
夜は友達とゲームをする。
これなら、ゲームを完全に禁止する必要はない。
やるべきことを先に確保しているからだ。
親としても、
「ゲームは禁止」
ではなく、
「先に守りたい時間を取って、その後は自由にする」
というルールの方が説明しやすい。
16子どもの自制心だけに任せない
ゲームは楽しい。
友達もいる。
終わりもない。
そんな環境で、
「自分で適切な時間に切り上げなさい」
と子どもだけに求めるのは少し厳しい。
大人でもスマホを何時間も見てしまう。
動画をやめられない。
SNSを開いてしまう。
自制心には限界がある。
だからこそ親は、
意志の強い子にすることだけではなく、意志を使わなくても切り替えられる環境を作る。
予定がある。
家族で出かける。
習い事へ行く。
部活がある。
そうすれば、時間が来れば自然にゲームから離れることができる。
17ゲームを禁止するより、人生の選択肢を増やす
ゲーム問題を考えていると、結局ここに行き着く。
親が子どもに与えられるものは、ゲームの利用時間を管理するルールだけではない。
スポーツを知る機会。
音楽を知る機会。
勉強に集中する機会。
旅行する機会。
学校以外の友達を作る機会。
何かを作る機会。
家族と過ごす機会。
こうしたものを増やすこともできる。
ゲームしか知らない状態なら、ゲームを選ぶ確率は高くなる。
他にも面白いものを知っていれば、その日の気分によって別のものを選べる。
ゲームを選べなくするより、ゲーム以外も選べるようにする。
この方が長期的にはいいと思う。
18結論:ゲームを制限するより「ゲーム以外の予定」を作った方がいい
子どもがゲームばかりしていると、親はゲーム時間を減らしたくなる。
もちろん、生活が崩れているなら一定のルールは必要だ。
ただ、ゲームだけを取り上げても、空いた時間が自動的に有意義なものへ変わるわけではない。
YouTubeへ移るかもしれない。
スマホへ移るかもしれない。
ただ暇になるだけかもしれない。
だから先に、
習い事。
部活。
友達との外出。
家族との予定。
勉強。
趣味。
ゲーム以外にやることを作る。
予定があれば、ゲームから自然に抜けられる。
「またね」と友達に言う理由にもなる。
学校以外の人間関係もできる。
ゲーム以外に面白いものも見つかる。
子どもの自制心だけでゲームをやめさせるより、ゲーム以外にも行きたい場所や、やりたいことがある生活を作る。
ゲームを減らすことを目的にするのではなく、子どもの世界をゲーム以外にも広げる。
その結果として、ゲームの割合が下がるくらいがちょうどいいと思う。