1結論:地方移住は年収が下がるなら得とは限らない

地方に移住すると、家賃が安い。家が広い。土地も安い。生活費も下がる。

だから東京より暮らしやすい。

そう言われることがある。

これは半分正しい。

でも、年収まで大きく下がるなら、必ずしも家計が楽になるとは限らない。

東京で年収700万円。地方へ移住して年収450万円。

住宅費は下がった。でも年間250万円、収入も下がった。

これなら本当に得なのか、ちゃんと計算した方がいい。

地方移住は、生活費が安いかではなく、収入減より支出減の方が大きいか。

ここで判断したい。

2地方移住で本当に下がる支出を考える

地方移住のメリットとして一番大きいのは、やっぱり住宅費だ。

東京23区で2LDK、3LDKとなるとかなり高い。家を買う場合も土地、マンションともに重い。

地方なら同じ予算で広い家に住めたり、同じ広さでもかなり安く抑えられたりする。

特に子ども2人、3LDK、70㎡以上となると地方の方が取りやすい。

2-1住宅費以外は思ったほど下がらない

問題はここだ。

地方へ行けばすべて半額になるわけではない。

食費、日用品、スマホ、家電、服、旅行、教育、大学。

この辺は東京でも地方でもそこまで劇的には変わらない。

ネット通販なら価格は同じだし、全国チェーンも同じ。大学費用も基本的には同じだ。

つまり地方移住で大きく下がるのは、主に住宅費だ。

それ以外の生活費は思ったほど変わらないことも多い。

2-2車代はむしろ増えやすい

地方へ行くと車が必要になる地域も多い。

1台、夫婦なら2台ということもある。

車両代、ガソリン、保険、税金、車検、駐車場、タイヤ、メンテナンス。

かなりお金がかかる。

東京なら車なし、地方なら2台となれば、住宅費で浮いた分の一部は車に消える。

だから、地方=生活費全部安いとは考えない方がいい。

3年収減と支出減を比べる

たとえば東京で年収700万円、地方で600万円。

100万円下がる代わりに、家賃が月5万円安い。年間60万円。

さらに住宅購入価格もかなり下がる。

これなら地方移住のメリットは十分あり得る。

通勤時間が短くなる、家が広くなる、実家が近いというメリットまであるならかなり合理的だ。

3-1年収が大きく下がると住宅費では埋めにくい

東京で700万円、地方で450万円。

250万円ダウン。

住宅費が月15万円から8万円へ下がり、年間84万円浮く。

かなり下がったように見える。

でも年収は250万円下がっている。

税金や社会保険が減るので手取り差は250万円そのままではない。

それでも住宅費削減だけでは埋めきれない可能性が高い。

さらに車、子ども、教育、旅行もある。

だから、家賃だけ見て地方の方が得と判断しない。

3-2地方移住で強いのは収入を守れるケース

理想はこれだ。

東京で年収700万円。地方でも600〜700万円。

そのうえで住宅費が下がる。

これならかなり強い。

たとえば地域インフラ、有力メーカー、地方銀行、資格職など。

あるいは都市部企業の給与水準を維持したまま地方勤務できるケースだ。

地方移住で一番おいしいのは、地方価格で暮らしながら全国水準に近い給与を取ること。

3-3大手メーカー

地方の有力メーカー、地域の主力工場、本社が地方にある会社。

こういう会社は強い。

東京ほど住宅費は高くない。でも給与は地域平均より高い。

600万円、700万円を狙える。

つまり、地方の生活コストと大企業の給与水準を両方取れる。

だから地方で暮らすなら、平均的な地場企業ではなく地域上位の企業を狙いたい。

3-4インフラ・地方銀行

電力、ガス、地方銀行も全国トップ級の年収ではない。

でも地域内では比較的高い。

東京で1000万円ではなく、地方で600〜700万円。

この水準で家計を組む方が現実的なことも多い。

公務員も同じで、地方民間と比べると安定した給与、退職金、福利厚生、雇用安定が強い。

地方移住では、全国基準ではなく地域内での給与順位を見る。

4地方移住では仕事と転職市場まで見る

東京の最大の強みは、仕事、高い給与、転職先の多さだ。

家賃が高い代わりに、高い給与を払う会社も多い。

地方移住すると住宅費は下がる。

でも高年収求人の数も減る。

つまり、住宅費を下げる代わりに、労働市場まで小さくなる。

ここが地方移住の大きなリスクだ。

4-1次の転職先まで考える

地方で年収600万円の仕事を見つけた。

それ自体はいい。

でも3年後、会社が合わなくて辞めたくなったとき、同じ地域で600万円の求人が何社あるか。

ここも見る。

東京なら次の会社、その次の会社と選択肢が多い。

地方では地域上位企業に入ってしまうと、次の転職先で年収を維持するのが難しいこともある。

だから、地方移住は今の仕事だけでなく、10年後の転職市場まで見る。

4-2共働きなら世帯年収で考える

夫婦共働きなら、地方移住は夫婦2人のキャリアで考えないといけない。

東京で夫700万円、妻500万円、世帯1200万円。

地方へ移住して夫600万円、妻300万円なら世帯900万円になる。

300万円下がる。

住宅費は下がっても、世帯収入差はかなり大きい。

つまり、どちらか一方だけの年収を見ない。

配偶者側の仕事が減るケースにも注意する

地方によっては、高年収求人、専門職、大企業が少ない。

夫は地域インフラで700万円を維持できても、妻が東京では500万円だったのに地方では250〜300万円になる。

これでは世帯としてかなり下がる。

だから地方移住で家計を考えるなら、夫の仕事より世帯年収を見る。

5子育て・教育まで含めると地方の評価は変わる

子育て環境だけを見ると、地方はかなり強い。

広い家、公園、車、実家の支援、保育園など、地域によっては東京より暮らしやすい。

子どもが小さい時期は特にメリットが大きい。

でも子どもは大きくなる。

高校、大学、進路まで見る必要がある。

5-1大学進学で大きな支出が来る

地方で育てて、大学は東京。

こうなれば学費に加えて、一人暮らし、家賃、仕送りが必要になる。

つまり幼少期に住宅費を抑えられても、18歳以降に大きな支出が来る可能性がある。

地方だから教育費も安いとは限らない。

むしろ、大学で県外へ出るなら住宅費が二重にかかる。

5-2教育の選択肢にも地域差がある

学校、塾、習い事、私立、大学。

東京は選択肢がかなり多い。

地方にも良い学校はあるが、地域によっては進学校が限られる、私立の選択肢が少ない、塾も限られるということがある。

教育をかなり重視する家庭なら、住宅費だけで地方移住を決めない方がいい。

6首都圏郊外という中間案

そこで出てくるのが、松戸、和光市、柏、朝霞、志木などの首都圏郊外だ。

東京の仕事は維持する。でも住宅費は少し下げる。

教育、医療、買い物、東京へのアクセスも残す。

つまり、東京と地方の中間。

地方移住ほど住宅費は下がらないが、年収も下がりにくい。

家計としてはむしろ安定することもある。

6-1地方より郊外の方が得な人も多い

東京で年収600万円、700万円、800万円程度稼げている人が、地方へ移住して400万円、500万円まで下がるくらいなら、松戸、和光市、朝霞、柏まで出る。

年収は維持し、住宅費だけ下げる。

こっちの方が合理的な可能性がある。

東京が高いなら、まず東京の外側へ行く。

この順番だ。

6-2地方移住が向いているケース

もちろん地方移住そのものを否定する話ではない。

かなり強いケースもある。

地方でも年収600〜700万円を取れる。夫婦どちらも仕事がある。実家が近い。土地がある。住宅費がかなり下がる。子育て支援も受けられる。勤務地も安定している。

こういう条件なら、東京よりかなり暮らしやすくなる可能性が高い。

6-3実家支援があるなら強い

地方移住で実家の近くへ戻るなら、これも大きい。

保育園のお迎え、子どもの病気、休日などに祖父母が少し手伝ってくれるだけでもかなり違う。

ベビーシッター、家事代行、延長保育などに払う費用も減る。

さらに夫婦の時間や精神的な余裕も増える。

実家支援がある地方移住は、単純な年収差以上に価値がある。

6-4縁のない地方への移住は慎重に

東京が高いから、知らない地方へ移住する。

これは少し慎重に考えたい。

友人、家族、仕事、土地勘がなくなり、さらに給料も下がる。

住宅費が安いだけで本当に得かはかなり微妙だ。

地方移住は、安い家を買うためだけにするものではない。

そこでどう暮らしたいかまで必要だ。

7移住前は家計を数字で比較する

もちろん、年収700万円から500万円へ200万円減るから、そのまま200万円損という話ではない。

税金、社会保険も下がる。

だから実際には手取り差で比較したい。

一方、住宅費も家賃だけではなく車、固定資産税、修繕まで入れる。

つまり、手取り収入 − 生活固定費で比較する。

7-1年間貯蓄額まで見る

最終的に大事なのは、いくら残るかだ。

東京で世帯年収1200万円、年間貯蓄250万円。

地方で世帯年収900万円、年間貯蓄200万円。

これなら地方移住もかなりありだ。

住宅は広く、生活も楽で、貯蓄差は50万円。

一方、地方で世帯750万円、年間貯蓄80万円なら、住宅費が安くても家計は弱くなる。

だから、生活費ではなく年間貯蓄額まで見る。

7-2移住前に比べたい項目

東京に残る場合と地方へ移る場合で、

  • 世帯手取り
  • 住宅費
  • 車関連費
  • 保育・教育費
  • 通勤費
  • 帰省費
  • 年間貯蓄
  • 将来の転職先
  • 大学進学費用

ここまで並べたい。

すると本当に地方の方が得なのか、かなり見えやすくなる。

7-3住宅費を下げるために稼ぐ力まで捨てない

地方の家を見ると、東京では考えられない価格で売っている。

広く、庭もあり、駐車場もある。

でも住宅価格はその地域の所得水準とも関係している。

家が安いということは、その地域の給料も低い可能性がある。

だから、家が3000万円安いだけを見ない。

その地域へ移ったら生涯年収がいくら変わるか。

こっちの方が大きい可能性もある。

7-4年収差は毎年積み上がる

地方移住で毎年150万円年収が下がる。

30年なら単純計算で4500万円。

実際には税金、昇給、転職などがあるのでそこまで単純ではない。

それでも収入差が長期間続く影響は大きい。

住宅価格は一度。年収差は毎年。

ここはかなり重要だ。

7-5まず収入を守る

地方移住で一番避けたいのは、家賃を下げるために年収、キャリア、転職可能性まで大きく下げること。

住宅費は人生の一部だ。

家を安くするために稼ぐ力を大きく落とすのは、順番が逆になることもある。

だから、まず収入を守る。そのうえで住宅費を下げる。

この順番で考えたい。

7-6地方で強い仕事を先に確保する

移住したい。そのあと仕事を探す。

ではなく、地方でも強い仕事を先に確保する。

地域インフラ、有力メーカー、地方銀行、資格職、公務員など。

年収600万円、700万円が見える状態で移住する。

これならかなり強い。

つまり、地方移住は住む場所からではなく、仕事から決める。

8まとめ

地方移住は、年収が大きく下がるなら得とは限らない。

確かに家賃、住宅価格、土地は安くなり、広い家にも住みやすい。

でも食費、教育費、旅行、大学費用はそこまで下がらず、車が必要になれば増える費用もある。

さらに地方へ行くことで年収が下がり、夫婦2人の仕事も減り、転職先も少なくなるなら、住宅費の安さだけでは埋められない。

だから地方移住で狙いたいのは、年収をあまり落とさず、住宅費だけを下げること。

地域インフラ、有力メーカー、地方銀行、資格職など、地方でも給与水準の高い仕事を確保する。

それができないなら、いきなり地方まで行かず、松戸、和光市、柏、朝霞のような首都圏郊外も考える。

東京の仕事を維持したまま住宅費を下げる。

その方が家計として強いことも多い。

地方移住は、家が安いからするものではない。

収入が下がっても、それ以上に生活全体が良くなるか。

そこまで計算してから決めたい。