1結論:英語だけが目的なら、留学はかなり高い
大学生になったら、一度は海外留学をした方がいい。
英語を話せるようになりたいなら、海外へ行った方がいい。
こうした話はよく聞く。
自分も留学そのものにはかなり価値があると思う。
ただ、「英語を話せるようになること」だけを目的にするなら、留学が必ずしも最適解とは限らない。
海外へ行けば、自動的に英語が話せるようになるわけではない。
短期の留学なら、英語環境にいる期間そのものが限られている。
日本人同士で行動すれば、海外にいても日本語を使う時間はかなり増える。
そして帰国すれば、生活のほとんどが再び日本語に戻る。
英語力を上げることだけを考えるなら、日本にいながら英会話を続けたり、外国人と交流したり、英語を使う仕事を選んだりする方法もある。
だから留学は、
英語を学ぶための高額な語学教材
として見るより、
日本では得にくい環境や経験を買うもの
として考えた方がいいと思う。
2海外にいるだけでは、英語は話せるようにならない
留学すれば、周囲では英語が使われる。
授業も英語。
店でも英語。
公共交通機関でも英語。
それなら自然と英語が話せるようになりそうに見える。
ただ、「周囲で英語が使われていること」と、「自分が英語を大量に使うこと」は別だ。
例えば日本人学生同士で留学した場合、
授業が終わったら日本人の友人と食事をする。
分からないことがあれば日本人同士で相談する。
休日も一緒に出かける。
住居でも日本人と過ごす。
こうなれば、生活のかなりの部分を日本語で乗り切れてしまう。
海外に住んでいるというだけで、英語を使わざるを得ない環境になるとは限らない。
留学の効果は、渡航したかどうかより、現地で実際にどんな生活をしたかに左右される。
3英語は日本にいてもかなり学べる
英語学習だけを考えるなら、昔より海外へ行く必要性は下がっている。
英語の教材はいくらでもある。
動画もある。
オンライン英会話もある。
外国人講師と毎日話すこともできる。
海外大学の講義を見ることもできる。
英語の記事や論文も簡単に読める。
SNSやオンラインコミュニティを使えば、海外の人と直接やり取りすることもできる。
つまり、
英語に触れること自体は、日本にいてもできる。
特に単語、文法、読解、リスニングなどは、留学しないと学べないものではない。
むしろ、英語力が低い状態で海外へ行っても、授業や会話についていくことに精一杯になり、思ったほど吸収できないこともある。
だから「英語が苦手だから、とりあえず留学する」という順番が必ず正しいわけではない。
ある程度日本で準備してから海外へ行った方が、現地で使える時間を有効に使いやすい。
4留学には期限がある
留学の弱点の一つは、期間が限られていることだ。
半年。
1年。
長くても大学生活の一部で終わることが多い。
その期間は英語を使う機会が増える。
でも日本へ帰れば、生活環境は大きく変わる。
授業は日本語。
友人との会話も日本語。
アルバイトも日本語。
就職先も日本企業で、仕事も日本語。
こうなると、留学中に増えた英語使用量を維持するのは難しい。
語学は、一度身につければ永遠に同じ水準を維持できるものではない。
使わなければ落ちる。
だから本当に英語を武器にしたいなら、
留学中にどこまで伸ばすかだけではなく、帰国後にどう使い続けるか
まで考えた方がいい。
留学だけを一回のイベントとして切り取ると、その後に英語を使う理由がなくなることもある。
5それでも留学には大きな価値がある
では、英語を学べるなら留学する意味はないのか。
そんなことはない。
留学には、日本にいながら英語を勉強するだけでは得にくい経験がある。
例えば、
- 自分だけが外国人になる環境で生活する
- 日本の常識が通じない経験をする
- 異なる価値観の人と友人になる
- 海外の大学教育を受ける
- 海外で一人で生活を回す
- 日本を外側から見る
- 将来海外で暮らす可能性を具体的に考える
こうした経験は、実際に海外で生活しないと得にくい。
留学の価値は、単に語彙が増えることではない。
自分が慣れている環境から一度外へ出ることにある。
日本で暮らしていると、日本の学校、日本の就職、日本の働き方、日本の生活が当たり前に見える。
海外で生活すると、それが世界共通のルールではないと分かる。
その経験自体には大きな価値がある。
6「英語が伸びたか」だけで留学を評価しない方がいい
留学から帰ってきた人に、
「英語ペラペラになった?」
と聞くことがある。
でも、この問いだけで留学の成果を評価するのは少しもったいない。
留学で得られるものは、語学力だけではない。
一人で海外生活をした。
現地で友人を作った。
日本では会わなかったタイプの人と話した。
海外の授業を受けた。
自分の価値観が変わった。
将来海外で働く可能性を考えるようになった。
こうした変化も留学の成果になる。
だから留学前にも、
英語力を何点上げるか
だけではなく、
海外に行って何を経験したいのか
を考えた方がいい。
7留学でしか得にくいものにお金を払う
海外留学にはかなりお金がかかる。
渡航費。
学費。
住居費。
生活費。
保険。
為替によっては、日本で大学生活を送るよりかなり高くなる。
さらに、その期間に日本でできたことを諦める機会費用もある。
だからこそ、
留学でしか得にくいものを取りにいく
という意識を持った方がいい。
例えば、
現地の学生と一緒に授業を受ける。
海外の研究室へ入る。
現地企業のインターンへ挑戦する。
特定の国の文化や社会を深く知る。
世界中から来た学生と友人になる。
こうした経験なら、渡航する意味が大きい。
一方で、午前中は語学学校へ行き、午後は日本人の友達と過ごすだけなら、数百万円を払って行く意味は少し弱くなる。
留学そのものを否定する必要はない。
ただ、費用が大きいからこそ、海外にいるという事実だけで満足しない方がいい。
8本気で英語を武器にするなら、もっと長い環境も考えたい
もし目的が、
「旅行で困らない程度に話したい」
「外国人と日常会話がしたい」
くらいなら、留学以外の方法でも十分狙える。
一方で、
英語を仕事の武器にしたい。
英語で大学教育を受けたい。
将来は海外でも働きたい。
というところまで考えるなら、半年や1年の留学だけでなく、もう少し長い環境も選択肢になる。
例えば最初から海外大学へ進学する。
海外大学院へ進む。
英語を日常的に使う仕事に入る。
海外メンバーと働くチームを選ぶ。
つまり、英語を一時的に勉強するのではなく、英語を使うことが生活や仕事の前提になる期間を長くする。
この方が、本当に英語を武器にしたい人には合っている場合がある。
ただし海外大学には、学費や入学難易度だけでなく、卒業後の就職や滞在資格など別の問題もある。
「海外大学へ行けばそのまま海外で働ける」と単純には考えない方がいい。
9留学するなら、日本でできる準備は先にしておく
せっかく留学するなら、現地でしかできないことに時間を使いたい。
だから英単語や基本文法など、日本でもできる勉強は渡航前にできるだけ済ませておいた方がいい。
英語が全く聞き取れない状態で海外へ行くと、日常生活を維持するだけでかなり疲れる。
授業を理解する。
友人を作る。
課外活動へ参加する。
現地の人と深い話をする。
こうしたことに進む前に、英語の基礎だけで苦戦することになる。
留学は、ゼロから英語を教えてもらう場所というより、日本で学んだ英語を実際に使う場所として考えた方がいい。
日本でできることは日本で済ませる。
海外でしかできない経験に、現地での時間を使う。
その方が留学の費用対効果は高くなる。
10日本人と関わること自体が悪いわけではない
留学すると、「日本人とはつるむな」と言われることがある。
言いたいことは分かる。
日本人同士でずっと過ごしていれば、英語を使う量は減る。
ただ、日本人との関係を完全に切る必要まではないと思う。
海外生活では、言葉以外にも負荷がかかる。
住居。
行政手続き。
病気。
治安。
人間関係。
授業。
慣れないことが一気に増える。
そこで何でも一人で処理しなければならない状態を作ると、英語学習以前に生活そのものがかなり苦しくなることもある。
だから、
日常生活の中心は現地の人や外国人にする。
ただし、本当に困ったときに日本語で相談できる人は残しておく。
くらいでもいい。
英語を伸ばすために、生活そのものを壊す必要はない。
留学はサバイバル能力を競うゲームではない。
11留学するかどうかは、目的から逆算する
海外留学は、誰にでも絶対必要な経験ではない。
逆に、行けるなら全員行くべきという話でもない。
まず目的を考える。
英語力を上げたいだけなのか。
海外生活を経験したいのか。
海外の大学で学びたいのか。
外国人の友人を作りたいのか。
将来海外で働きたいのか。
目的が違えば、最適な手段も変わる。
英語だけなら、国内でもできることは多い。
海外生活を経験したいなら、留学にはかなり価値がある。
海外で本格的に学びたいなら、交換留学ではなく海外大学や大学院という選択肢もある。
重要なのは、
「留学した方がいいらしい」から行くのではなく、何を得たいから行くのかを決めること。
これは留学に限らず、人生の多くの選択で同じだと思う。
12結論:留学は英語ではなく「環境と経験」を買うもの
留学すれば、英語を使う機会は増える。
それ自体は間違いない。
ただ、海外へ行くだけで英語が話せるようになるわけではない。
日本人同士で過ごせば日本語で生活できる。
期間も限られている。
帰国すれば、再び日本語中心の環境に戻ることも多い。
英語力を上げるだけなら、日本にいてもかなりできる。
だから留学を、
英語を話せるようになるための手段
だけとして考えるのは少しもったいない。
海外で生活する。
日本の常識が通じない場所へ行く。
異なる価値観の人と関わる。
海外の教育を受ける。
自分の生活圏が日本だけではないと知る。
留学の本当の価値は、こうしたところにあると思う。
英語は留学の目的というより、留学先で経験を得るために使う道具に近い。
英語だけが欲しいなら、もっと安い方法もある。
せっかく海外へ行くなら、海外でしか得にくいものを取りにいった方がいい。